中国で先行するトリウム溶融塩炉

トリウム溶融塩炉は、現在普及している軽水炉の次の世代、すなわち第四世代といわれる原子炉のカテゴリーの一つです。液体燃料であるため、構造が簡単で、原子炉が常圧で稼働するため、福島第一原発で起きたような過酷事故が起きる可能性がほぼありません。
しかし、国家として次世代炉として認められているのは、革新軽水炉、小型軽水炉、高温ガス炉、高速炉,核融合炉の5つで熔融塩炉は含まれていません。

中国では、2011年に国家プロジェクトとして4.4億ドルを投じてトリウム溶融塩炉の研究が始まりました。2018年に甘粛省武威市で、トリウム溶融塩炉の実験炉(2MWt)の建設が始まり、昨年2021年8月には完成し、先月2022年8月に、中国政府によりこの実験炉が認可されました。これは計画より3年も前倒しになっています。

https://www.world-nuclear-news.org/Articles/Chinese-molten-salt-reactor-cleared-for-start-up

このことは、日本では全く報道されていませんが、知らないうちに中国に技術で先行されるのは、残念です。
溶融塩炉は、基礎技術は確立されており、有望な技術です。日本でも検討を進めるべきではないでしょうか。

投稿者プロフィール

小笠原 裕
小笠原 裕中小企業診断士 行政書士
バラの咲く街、八千代市緑が丘で、コンサルティング事務所を運営しています。